事の発端

はじめまして。

海外移住を目指して、はや５年。
沖縄移住は果たしたが、まだ国境を越えられずにいる。

事の発端は、父親の葬儀が終わった日の夜のこと。

約５年前のその当時、仕事も順調で、登山やスキー、テニスなど
あらかたやりたいことを続けてきて、どの趣味も飽きてしまった頃。
突然、虚無感にとらわれてしまった。

いったい、自分は何がしたいのか？
この先の人生に、何があるのか？
何をすれば、自分は満たされるのか？
何でもいい、周りの熱くなれる人たちが、羨ましくて仕方がなかった。

そんな、虚無感にとらわれて毎日ボーっと過ごしていた頃、父親を亡くした。
突然死ではなく、たっぷりと時間があったので、最後の４、５年間は十分に
親孝行ができたと思っている。
なので、父親の死はとても自然なものとして受け入れることができた。
「もう行くよ」とでも言いたげな最後だった。



葬儀を終えた日の夜、仏壇に供えた遺骨の近くに布団を敷き、一人で床についた。
興奮して寝られないかと思いながら目を閉じたら、すぐに深い眠りについた。

気が付いたら、父親が話しかけてきていた。姿が見えた訳ではない。
この手の現象には、全く鈍感な人生を送ってきた。
しかし、父親の声はとてもはっきりと、生前と変わらず耳に飛び込んできた。



「おい○○（自分の名前）、おまえ海外で生活がしたかったんじゃないのか？」
「やりたいことを、やりたい時にやっといた方がいいぞ」


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